こんにちは。大学院生ブロガーの
crude放置したら死刑! crudeは、本当にその日の内に精製するべきなのでしょうか?
crudeをovernightすると壊れやすい
crude(クルード、粗生成物)を、カラムクロマトグラフィーや再結晶をせずにovernight(オーバーナイト)で放置すると、目的物が損壊する可能性があるため、crudeの放置はしないべきだと言われています。
ぼくの経験上、たしかにcrudeを放置したせいで目的物が壊れたのか、1H-NMRを測定しても汚くなっていた、ということがあります。
収率が下がる
実験の再現性がとれなくなる
実験データとして不適切になる
これらの理由で、やはり、crudeは放置するべきではありません。crudeは、その日の内に精製するのに越したことはありません。
crudeのovernightを恐れる余り、仕込まなくなる
crudeは、よっぽどの理由がない限り、その日の内に精製する。これは科学者としてあるべき姿です。
ただ、クルードをオーバーナイトすることが悪である、という気持ちが先行して、「もう1つ仕込めるはずの反応を仕込まない」という状況になってしまうのも、これはこれで問題です。
curdeのovernightをうまく活用しよう
仕込まなかった反応が、「粗生成物を精製せずに帰ったとしても問題がない」という反応であるならば、「仕込んで分液」だけでもやる。
今日の予定に、「仕込んで分液」という作業くらいなら予定に追加できるぜ、って状況なら、その追加反応もやるべきです。
crudeのovernightで壊れない反応、化合物を見極める力をつけよう
上で考えてきたように、「crudeのovernightが可能かどうか」を見極める力があれば、実験量を多くできるわけです。
というわけで、「crudeを放置しても問題がないかどうか」を見極める力をつけましょう。
とはいえ、4年生にcrudeを放置しても大丈夫かどうかの判断をさせても、分かる人・分かる反応は少ないでしょう。
crudeのovernightで壊れない反応、化合物を見極める力の付け方
crude放置力。最後に、この放置力の身につけ方を置いておきます。
先輩、先生に聞く
とりあえず、先輩、先生に聞きましょう。
「この反応、crudeでovernightしても大丈夫ですか?」
これです。
積極的にcrudeをovernightしてみる
しかし、人に聞くだけでは成長はありません。
何はともあれ、経験が大事です。
再現性よくできる反応、安定して高い収率を叩き出せる反応があったら、積極的にcrudeのovernightをしましょう。
(再現性のない反応でやると、crude放置の有無という点での対照実験ができないので、その場合はやめましょう。科学者は常に、論理的に。実験の基本は対照実験。)
収率が下がったら、その化合物、もしくは反応系はcrude放置に適さないということです。
化合物が不安定なのか、分液で取り切れなかった不純物が損壊の原因なのか、この辺が分からない場合は先輩や先生に聞きましょう。
もしくは、それまでの経験と照らし合わせて、「こういうものは放置しないほうが良いのかな」っていう仮説を立てておきましょう。
今思いつくのは、こんなところですかね。
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