どうも、有機系研究室D3のともよし(@tomo141)です。
ずっと研究室生活をしているので、リタイアしたり、来れなくなる人が出たり、精神的に病んだり鬱になったり、たくさんの人、たくさんの研究室を内外含めて見てきました。
なんで、自分の中でブラック研究室の特徴ってのを整理したいと思ったので、ブラック研究室の特徴をまとめ、ついでにその解決法も考えて見ました。
ブラック研究室の定義を議論しだすとキリがないので、とりあえずこの記事では“よくない研究室”ってくらい広い定義で考えます。
ちゃんと適切そうな13という数字でまとめてみましたよー!!!www
(自分の研究室のこと(だけ)を言っているわけではない、という点にはご留意いただきたいです。)
考えた結論としては、
- 教員にも責任はある
- だけど学生にも大きな責任がある
- 学生も教員に本音で意見するべき
- 学生にもブラック研究室を変える力がある
ということ。
お互いに悪い点を認め合い、コミュニケーションを上手くとり、お互いがwin-winの関係を築こうとする姿勢。
この辺が、脱ブラック研究室のためには必要なんじゃないかと考えました。
詳細は、以下。
ちなみに、うちの研究室では、リタイア続出してませーん!
こんな教員がいたらブラック研究室!
まずはブラック研究室に共通しそうな悪い教員の例を考えてみます。
1.下からの意見を聞かない
第一に、下からの意見を聞かない教員はダメですね。
理由を2つ挙げます。
1.1.優秀な学生の意見がつぶれる
下だって一生懸命やってるんです。
「成長して、お前を越えてやりたい。」
そう思ってやってるやつもいます。
下からの意見を聞かないということは、教員には気付かなかった点についての、優秀な学生の指摘を無視することに繋がります。
確かに、教員は研究が上手いでしょう。
実験だってどの学生よりも上手いでしょう。
経験も豊富。
学生が言ったことより、教員が言ったことの通りの結果が得られる確率のほうが格段に高いでしょう。
しかし、自分の考えだけで研究を進めていては、研究室のパワーは自分のパワー止まりです。
チームでやっているメリットを最大限に活かすために、教員は学生の意見をよく聞くべきです。
1.2.学生が萎縮する、ものを言わなくなる
そして何より、下の意見を聞かない上司が現れたら、下は自ずと意見を言わなくなります。
意見を“言えなくなる”と言ったほうが良いかもしれません。
こうなると研究室は、コミュニケーションが全く上手くいっていないカップルのように、崩壊の一途をたどるしかありません。
- 教員:「思った通りに、学生が動いてくれない」
- 学生:「教員が分かってくれないから実験したくない、研究室に行きたくない」
とにかくよくない連鎖が起こり続けます。
2.学生に付きっ切り
学生に付きっ切り、休む暇も与えない、という教員も、よくないですね。
コミュニケーションがうまくいっている関係ならまだよいにしても、下の意見も聞かないのに教員が張り付いていたら、学生は生きる意味を見失うかもしれません。
学生に付きっ切りで、あたかもその学生を操作しているだけ、みたいな状況はよろしくないですね。
学生の意見をよく聞いて、意見を平等に扱って、良い部分は褒めて伸ばし、足りない部分は指導する。こういったケアがないと、学生は自分がただの操り人形だと思い込み、研究室に来る意味、自分がやる意味を見失います。
こうなると、研究室に来る気持ちはなくなり、リタイアに近付いていくでしょう。
あと、こういう風に教員がつきっきりになると、学生は休みづらくなります。
休憩を取りづらいと感じてしまう、ということです。
もしぼくが上の立場に立ったら、部下が、ぼくが必要だと思っている以上に休めるくらい、休みやすい雰囲気を作りたいと思います。
それほど意識的に休みやすい雰囲気を作らないと、十分な休息が取れず、心身ともにボロボロになっていくんだと考えています。
3.学生を使える/使えないで分けて考える
ピグマリオン効果/ゴーレム効果ってありますよね?
同じ学生であっても、教師の先入観で学生の成績が変わる、みたいな効果です。
「伸びやすい学生だ」と教師が考えていると、実際その学生は伸びやすい。
「伸びにくい学生だ」と教師が考えていると、実際その学生はのびにくい。
みたいな話があるそうです。
この話は、研究室の学生にもあてはまると考えています。
たしかに、
- 研究室に入るまでの成績
- 第一印象
- 初めてのプレゼンでの出来
- 院試の結果
等と、いい結果を出す学生/出せない学生との間には、それなりの相関はあるかもしれません。
しかし実際は、上で挙げた先入観が影響して、伸びた学生/伸びなかった(落ちていった)学生が分かれる、ということもあるはずです。
伸びると感じる学生には手厚い指導を行って、反対に伸びると感じない学生には適当な指導を行っている、なんてことは往々にして起こることです。
徹底指導しても、なかなか付いてこない学生もたくさんいます。
それでも、(僕も含めて、)
指導者たるもの、全員に、しっかり期待を持ち、伸びてこない生徒も諦めずに手厚い指導を行っていきたいものです。
教員が諦めずに、全員に手厚い指導をしていた時期は、全員が伸びていた。
こんな実感が、ぼくにはあります。
(そのうち復活できそう?)
4.学生を育てる気がない
学生を捨て駒のように扱う教員もわりといるように思います。
学生を育てる気がなく、ただひたすら実験をこなすロボットのように考えている人もいると思います。
ハードワークを強制し、使えなくなったら捨てる。
自分のとこの教員がこんな考えを持っていそうなら、すぐさま研究室を辞めてやる(もしくは院試で抜ける)のをおすすめします。
ぼくだったらソッコー辞めてやりますよ。そんな研究室。「淘汰されちまえ」とか言って笑
ぼくらには、ブラック研究室を淘汰させる責任があるんですよ。
ブラック研究室は、全員で辞めて、労働力不足で淘汰されてしまえばいいんです。
5.「そんなんじゃ学位は取れない」と脅してくる
これはダメです。
脅し、恐怖で人を動かしても上手くはいかない、と相場が決まっています。
プラスのモチベーションを沸き立たせる指導をするべきです。
6.叱り方が感情的
時には怒るという“手段”を使って学生を叱ること、指導することは必要です。
でもその怒るは、理性を保って“手段”として使うのみに留めるのが理想でしょう。
叱ることを履き違えて、感情的になっていては伝わるものも伝わりません。
学生も賢いので、冷静に叱られてるときはプラスに捉え改善するように努力することが多いですし、感情的に言われているときは「うるせーな出直して来い」って思ってます(多分)。
7.教員に余裕がない
上の“感情的”の話に近いところはありますが、教員に余裕がないと、さまざまな部分に支障が出てきます。
たしかに、学生から教員を見ていても、「ん?この人研究者?」と思ってしまうほど多忙な教授を見つけられます。
それほど、教員って、仕事が多すぎるものだと思います。
ぼくだって大学教員になったら余裕なくしそうな気がしますもんw
8.遅くまで残っている学生、日曜日に来ている学生を褒める
これは、効果的なように見えて逆効果ですね。
しんどくてもがんばってる学生は救われるかもしれませんが、がんばりたくてもがんばれない学生にとっては必要以上のプレッシャーになってしまいます。
全体のことを考えれば、マイナスの結果を生むと考えています。
教員だけ?研究室がブラックなのは学生も悪いんじゃないの?
これ、学生側は見落としがちですが、研究室がブラックだったり辛かったりするのは、学生にもかなり責任があると思ってます。
では、
具体的に、学生の悪い例、学生にできること等を述べていきましょう。
9.「楽して学位を取ろう」という甘い考えで研究室に入ってきている
「入る研究室の専門分野に対して、そこまで大きな情熱はないけど、まあ学位は簡単にもらえるだろう」
まず、上みたいな甘い考えで、研究室に入ってないですか?
研究に対してそれなりの興味を持って、それなりの覚悟を持って研究室に入るのなら、多少つらいことがあっても乗り越えられるものです。
研究室に入ってから、「そこまで楽しい研究じゃなかった」とか「思ったより辛い生活だった」と感じるのは、自分自信を見誤った証拠であり、研究室の調査不足だったってことじゃないですか?
楽して学位が取れる研究室もあります。
そんな中で、大変な研究室に自ら入っていった(入る前から多少そういう噂だったり雰囲気は感じ取れるはず)わけですし、覚悟or調査不足なような気もします。
楽して学位を取りたかったら、そういう研究室に行く(移る)こともできたわけですし。
大変な研究室(そもそも大学院)に入るんですから、もう少し覚悟を決めてくるべきだったかもしれません。
10.心と体力に余裕がなくなるまで働く
これ、アホですよ。
自分の限界、いい加減把握しましょう(俺か)。
夜遅くまで実験すること、教員の無理な要求を限界突破してまでやりこなすこと。こんなことをしていると、教員が「こいつは使える☆」と感じてさらなる要求を突きつけてきますよ。
自分を安売りしていては、安い人間にしかなれませんよ。
「これ以上働くと、生産性が落ちます。」
「これ以上働くと、考えずに実験することになります。」
これくらいの気持ちでいきましょう。
こうでもしなければ、言われた通りにはやっていたけど自分では考えられない人材で終わりですよ。
安い。
昭和時代
そもそも心と体の限界まで働く、なんてのは昭和時代の話ですよ。
単純作業はロボットが代わりにやってくれ、ロボットにできない高度な思考を人間がやるわけです。
言われた通りやれる人間は、ロボットの出現で価値がなくなります。
それでよければ、そのままやってもいいですけどね。
11.誰かの帰宅時間が早いと愚痴をこぼす
これは自分の首、他人の首を締めることになります。
全体的にはマイナスなのでやめたほうがいいと思ってます。
(自分が遅い時、早く帰られると寂しくて止めたくなるんですよねw)
12.教員を理解しようとしていない
あとはこれも大事ですよね。
やっぱり人間同士のチームでやっているわけですから、お互いに協力・助け合いの姿勢を持つべきです。
教員がやりやすいように、教員が気分良く運営して行くために、こちらからも歩み寄る必要があります。
「ぞんざいな扱いを受け、教員のために何かをしてやる気なんてない」そういう気持ちもわかります。
「そんな運営で忠誠心なんて生まれるわけない」そうおっしゃる気持ちも分かります。
ですが、いつまでも子供みたいにあっちが先、あっちが悪いって言っていても何も変わらないじゃないですか。
ここはこちらが大人になって、向こうが戸惑うくらいに教員のサポートをしてやりましょう。
こちらが変われば、相手も変わります。
それはあらゆる自己啓発本等が証明しています。
13.上に意見しない、本音を言うのを諦める
最後に。
学生に足りてないのは、上に意見すること。
- 上の権力に怯えること
- 上には何を言っても否定される
こういうことが、上に意見する気をなくさせます。
しかし、上もしっかり話せば理解してくれます。
上も、否定されても食らいついてくるくらいの学生を望んでいます。
諦めずに、上に意見しましょう。
そこで上に意見することを諦めるから、上とのコミュニケーションがいかず、その結果自分のことを理解してもらえないから、自分のやりたいことと全く違った話が進んでいたり、自分の心身の限界以上の仕事を要求してきたりするんです。
ブラック教員がブラック教員のままなのは、学生の責任でもありますよ。
上を変えたいなら自分も変える
上を変えたいのでしょう?
だったら、自分も変わらなければいけません。
自分から、変えていきましょう。
上に意見しましょう。
嫌なことは嫌と言う。
無理なことは無理と言う。
(意見する勇気がないなら、)
上が求める人間に近づくために、論文読みましょう。勉強しましょう。研究で提案する、意見を言えるようになりましょう。
ブラックが受け入れられないなら、変える努力をしろ
「教員が悪い。」
「他の研究室がうんたら(自分の研究室より良い、楽してる、早く帰ってる)」
そうやって、グチグチ言っているだけでは、何も変わらないじゃないですか。
(愚痴っぽくなく言っているのならOK)
研究室が悪いと思っていながら、それを改善しようと努力をしないなら、事実上、その状況を受け入れているわけです。
受け入れるなら、受け入れるしかない。
受け入れられないなら、文句ばかり言ってないで変える努力をするべきだと。そのどちらかにするべきだと考えています。
「その状況は変えられない、だから受け入れる。」こういうスタイルの人もたくさん見てきています。
このように、変えられないことを受け入れ、抗わないスタイルの人は素晴らしいですよね。
反対に、教員に対して遠慮なく意見をぶつけていく人も見てきました。
こういう存在が少なくなるというのは、案外研究室の危機なのかもしれません。
受け入れられないことがあるなら、変える努力をしましょう。
『7つの習慣』では、他人を変えるなら、他人に効果的なプレゼンテーションをするべきだと言っており、多くの人はプレゼンテーションを“効果的”といえるレベルまで上げられてない、というようなことが書いてあります。
他人を変えるまでのステップについては、すでに7つの習慣等の本で述べられているのでそちらを参照してください。
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