ともよしぶろぐ|大学院生博士ブロガーの主張

大学院生博士ブロガーのともよしです(今年か来年博士号取得予定)。有機合成化学やってます。

【挑戦的or無難】全合成でどちらの反応を選ぶべきか?論

こんにちは。大学院生ブロガーの

ぼくは大学で有機化学、天然物の全合成研究をやっています。

今日は、全合成研究で、「ステップ数が短く、挑戦的な反応に挑戦するべきなのか?」それとも「成功確率が高そうな無難な反応を選択するべきなのか?」について、考えていこうと思います。

こんなひとにおすすめ
全合成研究をしている人
有機化学を勉強中の人

全合成の合成最先端

全合成研究では、10ステップ、20ステップの合成を経て化合物を合成します。

ですが、長い工程を経て合成した化合物(合成の最先端)は、数mgしかないことが多いため、下手な反応で大切な化合物を壊すわけにはいきません。

合成の最先端では、限られた原料を使い、出来る限り多くの知見が得られる最適な反応を選択するべきです。

全合成では、どのような反応を選択するべきか

全合成の最先端で、どのような反応を選択するべきか、考えていきます。

なお、ここで言う「選択」とは、10ステップとか20ステップとかの規模で変わる「選択」、すなわち「合成戦略の選択」というよりは、おおまかな戦略は決まっていて、この先数ステップをどのように進むべきか?という「反応の選択」を考えたいと思います。

短工程、画期的、挑戦的な反応を選択するべき

使える原料が限られている場合、少しでも短い工程で、目的化合物を合成したいものです。

工程数が増えれば、それだけロスが増えます。

また、困難な反応に挑んだ結果、効率が良かったり、面白かったりする反応が見つかれば、上司にも褒められるかもしれません。

これらの理由で、短い工程、挑戦的な反応の方を選びがちです。

高信頼度、無難な反応を選択するべき

でもぼくは、挑戦的な反応を選ぶべきではないと考えています。最初は。

「まずは」こちらの「無難な反応」選択するべきだと考えています。

たしかに、面白い反応、短工程・効率的な反応を使って全合成をやりたいものです。

「よくできたね」「すごいね」なんて言ってもらえたら気持ちいいですもんね。


しかし、少量の原料を使って、挑戦的な反応を最適化させるのは至難の業です。

挑戦的な反応を上手く進行させるためには、原料、生成物、中間体の安定性・反応性など、多くの知見が必要です。

信頼性の高い反応をやると、それだけ、原料特有の反応性だったり、生成物の安定性だったりを見失わずに、気付くことができます。


「無難な反応が上手くいったらそれで終わり」というわけではありません。

「無難な反応」が上手くいってから、「挑戦的な反応」にチャレンジすればいいのです。そうすれば、より魅力的な合成ルートが完成することでしょう。

少し先の未来の、「挑戦的な反応」を成功させるために、まずは無難な反応で種々の知見(反応性、安定性、化合物データ等々)を集めましょう。

無難な反応で知見をたくさん集めて、新しい化学を、見つけてやろうじゃありませんか。


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